公益社団法人 神奈川県宅地建物取引業協会 公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会神奈川本部

一般の方へ
ごあいさつ
会⻑挨拶
草間 時彦
空き家等対策の推進に向けた、宅建協会の新たな取り組み

会長 草間 時彦

はじめに、令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、被災された皆様、ご家族、関係者の皆様にお見舞いを申し上げます。本会としては、会員各位に義捐金をお願いしたところ、多くの浄財を寄せていただき石川県宅建協会ならびに石川県を通じ罹災された方々に寄付させていただくことができました。

令和5年度は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へ移行され、通常の日常生活が戻り、本会も各位のご協力により本格的に事業運営を実施することができました。

不動産業界においては、昨年12月に空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が施行され、空き家問題に対しては早急に取り組んでいかなければならないと考えています。そうした中、空き家等に係る宅建業者の媒介報酬規制の見直しが行われることになり、本年7月1日に施行予定となった売買については、低廉の空き家等の媒介の特例が平成30年1月に創設されました。物件価格が400万円以下の宅地建物については、特例で18万円および消費税を手数料として請求することができていたところ、今般800万円以下にまで拡大され、当該媒介に要する費用は税込33万円請求できるようになりました。また、この特例は、これまで売主にのみしか請求できませんでしたが、今回の改正により買い主に対しても請求することができるようになりました。ただし、媒介契約の締結に際し、予め報酬額について依頼者に対し説明し合意する必要があるとされています。

また、今回賃貸借の媒介についても特例が創設されることになりました。長期の空き家等については、現に長期間にわたって居住の用、事業の用、その他の用途に使用されなく、また将来にわたって使用される見込みがない宅地または建物と定義されていますが、貸主である依頼者から最大で賃料の1ヶ月分の2.2倍以内まで受領することができるようになります。この改正は従前より、本会はもとより全国の会員から要望が多く、関係各方面に対して要望を行い、また国土交通省との度重なる協議の結果実現したものです。国土交通省からは、空き家等の流通の拡大を図る観点から、空き家等の相談態勢の充実や地域の不動産業の担い手の育成など、全宅連に対し協力の要請がきています。本会としても、各位の協力により、無料相談所における相談態勢の構築や相談員をはじめ空き家取引に関心のある会員向けの研修等を通じた空き家取引の担い手の育成を行うなど、全面的に協力していくべきであると考えています。

その他、デジタル化への対応として、Web会議やWeb研修などは恒常的に行われ、習熟度も高まり、利便性が向上、知識を習得する機会が拡大した状態が一般化しています。また、会員支援システム「ハトサポ」は、業務を行ううえで欠かせないツールとなりました。これらのシステムは、さらなる利用促進に向けて機能改善や様式追加等利便性の高いシステムとして会員支援につながるよう、全宅連に対しより一層働きかけていきたいと考えています。

宅地建物取引士資格試験の運営は、本年で10年目の節目を迎えます。申込者は年々増加し、昨年は2万6千5百人を超えるなど、東京に次いで全国2番目の申込者数となりました。責任の重大さを痛感する事業ではありますが、会員各位をはじめ関係各位の協力により的確に実施し、次年度以降も継続して受託できるよう取り組んでいきます。

今年度の協会運営については、本部、支部が一体となって、さらなる効率的な組織運営が行えるよう計画し、安定した事業推進と財政状況の保持に取り組み、次の世代が持続可能な運営基盤の構築を目指していかなければならないと考えています。組織の環境変化や既存の運営方法等が変わり戸惑いもあるかと思いますが、各位の強い団結のもと、一つになってこれを成し得たいと考えています。

今年度も、会員各位とともに本会のさらなる発展に向けて協会活動に取り組んでまいる所存です。引き続き各位のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

令和6・7年度 業務執行理事名簿
令和4・5年度 業務執行理事名簿
新年挨拶
持続可能な事業運営基盤を次世代へ

会長 草間 時彦

新年、明けましておめでとうございます。

会員各位におかれては、それぞれの思いを胸に新しい年の幕開けを迎えられたことと拝察いたします。

新型コロナウイルス感染症の5類への移行から1年8ヶ月が経過し、細心の注意を要しながらもインバウンド需要の回復とともに街中には明るさと賑わいが戻り、活気に満ちた会話が飛び交うなど、社会経済活動は以前にも増して活発化しているように思われます。

そうした中、終わりの見えないロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢が混迷を深め、多くの命が無益に奪われる中で憎悪と分断が広がっています。加えて、米国で自国第一主義を掲げる大統領が返り咲くこととなり、81億人を抱える地球の温暖化や食料危機など、世界的協調が不可欠なSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みへの影響が懸念されます。

一方、我が国では、衆議院選挙の結果を受けて少数与党により政権が運営されています。人口減少に歯止めがかからない中で地方の衰退が言われて久しく、都市部にも及ぶ現状を前に、政策産業と言われる不動産業に携わる私たちにとって、安定した政治のもとにICT、AIの進展を背景とした国力の回復が切に待たれます。

このような中、本会は不動産業関連事業を通じて公共の福祉に貢献する公益法人としての責務を果たすべく、確固たる信念を持って諸事業に取り組む所存です。

コロナ禍を経て会議や研修会等のオンライン化は常態化しましたが、一層の利便性向上に努めるとともに、宅地建物取引士等の関係業務では信頼をより確かなものとし、相談、流通、教育等の主要な事業においては、未来志向でデジタルを活用し推進を図ります。それとともに、不動産業の電子申請、電子契約の流れが進む中、不動産業務の入口から出口まで一気通貫にできる業務支援システム「ハトサポ」は不可欠のツールとなりましたが、改善点について全宅連に要望しながら、取り残される人のいないよう、引き続き周知、普及、研修の充実に努めます。

本会が受託して10年目を迎えた宅地建物取引士資格試験は、会員の皆様はじめ多くの方々のご協力により滞りなく終了し、神奈川県の信頼が厚い中で次年度以降も本会に負託される見通しとなりました。折しも、本会が発案した取引士証の硬質カード化について、予てからの要望が結実し国交省の許可のもとに実現しましたが、その入口となる試験事務につきまして、改めてご協力をお願いする次第です。

また、昨年6月、国交省により「不動産業による空き家対策推進プログラム」が策定され、これに伴い全宅連で「空き家対策プロジェクトチーム」がつくられました。空き家相談員の担い手を養成し空き家の相談窓口を設置するもので、この体制のもとに全国47都道府県のネットワークをつくろうという試みであり、会員各位のビジネスにも繋がっていくものとして本会支部にもご協力願いたく存じます。

それらの上で、本会の将来を見据えた持続可能な運営基盤を確立し次世代に引き継ぐべく、4年にわたり協議を重ねてきた「組織・事業運営特別委員会」の答申に基づき、支部および会員各位のご協力のもとに具現化に向けて推進することとなりました。18支部を堅持した上で、7つの拠点からなる支部事務所の共同利用や厳正な会計処理の徹底ならびに支部役員、職員の業務負担軽減のための会計センター設置等の施策からなるもので、長年にわたる懸案の解決に向けた取り組みです。

内外ともに変化の激しい、厳しい時代ですが、引き続き社会情勢を俯瞰的かつ冷静に見つめながら諸事業に取り組んでまいります。本年も会員の皆様の変わらぬご理解、ご協力をお願い申し上げます。